それは見ていた。遙か遠くから眼下を見下ろすように。
それを見る者は恐れを抱くだろう。自分が次の獲物にされる恐怖を感じて。
それはチャンスを逃さない。チャンスが訪れるまで鋭く見張りゆく。
それは突然に急降下する。そして、水面へと潜りゆく。
それは勢いのまま、水上へと駆け戻る。嘴に獲物を咥えて。
それは何事も無かったかのように悠然と翼を広げる。王者のように。
それは鋭い眼差しで獲物を狩る。蒼空の狩人。
それはすなわち、ワシ。彼らに目を付けられて、逃れられる者はいるだろうか。
否、誰もいないだろう。恐怖で身体が硬直してしまうのだからーー。
10/15/2024, 11:46:55 AM