スタントマンの仕事には誇りを持っている。綱渡りもバイクアクションもビルからのジャンプも。求められればなんだってやってきた。その結果がこれだ。努力は必ずしも報われるわけではない。頭では理解していてもそう簡単に受け入れられるものじゃない。復帰は絶望的と言われた。20代半ばにして、人生をかけて追ってきた夢を潰された。なのに自分でも不思議なことに落ちこんではいなかった。目を閉じれば今でも鮮明に映し出せる。直前の緊張感、成功した後の歓声と達成感。肌が、細胞が全て刻み込んでいる。もう一度あそこに立たせてくれと叫んでいる。気付けばリハビリに取り組んでいた。無謀でいい。無茶で構わない。スタントマンは俺の天職なんだ。命が燃え尽きるまで闘ってやる。
『命が燃え尽きるまで』
9/14/2022, 12:29:06 PM