ね。

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崖から後ろ向きに飛び降りた。
一瞬ふわり、と浮いたような気がしたが、飛べるわけなく、海へ海へとボクは落ちていく。 


空がみえた。
過去の過ぎ去った日々もみえてきた。



思ったより怖くなかった。
むしろ、なぜかあたたかい光に包まれているような感じがした。






なかなか海に届かない。
下を向こうと首を傾けた時、『ぎゅん』という音と共に、身体が浮いた。


落ちていくはずだったボクの身体は、高く高く空へと昇っていく。
何かに守られてるのが分かるが、その姿はみえない。みえないけれど、それはもう大丈夫だ、とボクに伝えてくれているのを感じる。





ボクにはたった一つの気がかりがあって、それはさっき落ちていくときにみえた過ぎ去った日々の中にあったのだけれど、今となってはもうどうでもよくなっていて、ふわりふわりと浮きながら、今はもう本当に身を任せていればいいんだ、とハートから安心したボクは、ゆっくりと目を瞑った。





3/10/2026, 6:26:33 AM