「脳裏に浮かんだのは…」
俺は生まれた時からこの総合病院にいる。
両親はどちらとも忙しい身の上だったが、俺の容体が急変したら直ぐに駆けつけてくれた。
だが、妹が産まれるとほぼ毎日来てくれたのが、ぱったりと止んだ。
幸いなのが、両親がまだ、治療費などを支払ってくれているといことだ。
それから幾つ年を重ねただろうか。
もう数えていない。
胸に鈍痛が雷のように走った。
ナースコール押そうとしたが、何となく押すのやめた。
呼吸も浅くなり、本当に死んでしまうのだろうと思った。
最期に脳裏に浮かんだのは、この病院で産まれた赤子の妹のくしゃりと笑った笑顔だけだった…
11/10/2024, 10:10:07 AM