「うえーん…」
「まーた泣いてるよ、こいつ」
「おもしれぇよな、ちょっと虐めればすぐ泣くんだから」
男数人に囲まれその真ん中には
小さなワンピースを着た女の子が泣きながらしゃがんでいる。
「いつもアイツと一緒にいるからな」
「お前アイツいないと弱いから今のうち…」
「おい!!何やってんだよ!!」
そこに1人の男の子が立つ。
「女の子虐めて何楽しんだよ!!」
彼女がふふっと笑う。
「何?」
「もうほんとに泣かせない?」
「なんだよ、急に」
「昔の事思い出しちゃった。朔が助けに来てくれたあの時の事」
「……ん?俺、彩芽助けに行きすぎていつの事か覚えてないんだけど…」
「そんなに助けに来てくれたっけ?」
「おう!お前は泣き虫だからな!いってぇ!」
彼が笑いながら言うと彼女が彼の腕を抓る。
「ごめんね、泣き虫で?」
「でもだからこそ助けてやりたいって心から思うのかもな」
「え?そうかな?」
「だって好きな女泣かせたくないじゃん?
昔から俺はずっと彩芽の事好きだったから」
episode 『記憶』
3/26/2025, 9:06:21 AM