自分の眼球に、貴方が映っているのすら信じられない。流石、モデルだ。男性的な身体付きであり、所作はガサツでありつつも、淑やかさが滲み出ている。
「ちょっといいですか?」
「ん?どうした?」
断りも入れず、髪に触れる。
「ゴミが付いてましたよ」
嘘だけど。事前に手にしていた毛玉を見せる。
「ありがとな!」
パチリと瞬きした後、眩しい程に感謝を伝えようとする表情に、目が釘付けになりつつも視線を逸らしたくなる。そんな顔を向けられていい人間なのかと、自問しながら。
さらさらな感触が手から離れない。指先を見つめながら考えても考えても、答えは出なかった。
「美しい」〜答えなんてとっくに〜
6/10/2025, 9:16:42 PM