No.17『冬は一緒に』
散文 / 恋愛 / 掌編小説
かじかむ手を擦り合わせて息を吹きかける。一瞬だけ温もりを取り戻したその手は、直ぐに温もりをなくしてしまった。
「寒い……」
夏の間はこうやってくっつくのも嫌がっていたくせに、小さく呟いて君は手をつないで来た。君の手は僕の手よりも少し暖かく、君の体温と僕の体温がゆっくりと交わっていく。
夏の間はさりげなくつないでもウザいと振り払われていた君の小さな手。確かに僕は、夏の間はヘンな手汗をかいていた。冬の今は寒さで引っ込んだ手汗のぶんが、君より少し暖かくなっているんだろう。
夏の間一緒にいられなかったぶん、冬の間は一緒にいようねと、僕は君の手を強く握り返した。
お題:冬は一緒に
12/19/2022, 7:50:06 AM