【ミッドナイト】
嫌なことがあった日はミッドナイトを満喫する。
普段の私のミッドナイトは大概夢の中だ。
自慢ではないが私の夜は短い。
爺さん婆さんに勝つことはできないが、そこら辺の若者には確実に勝てる。
嫌なことがあったとき。
私は誰とも会いたくないし語りたくもない。
励ましの言葉など要らぬ。
お前に私の気持ちはわからない。
このときの私は殺人事件の犯人そのものである。
ひとりで物思いに耽り、絶望の縁までに自分を追い込む。
そのときだけ私は心を鬼にする。イメージはハートマン軍曹である。
このままの気持ちで明日を迎えたくない。
嫌なことを嫌なままで終わらせたくない。
わざとポジティブにすると、私の気持ちは空回りして意味がないのだ。
ここまで気持ちを沈めると、不思議なことにいつの間にかまぁよいという心地になる。
パアッと気が軽くなるのは、自分次第であるのだなと嫌なことに真摯に向かい合った私を讃える。
眠気に耐えきれず布団に沈み込むと、私は布団の寛容さに感動する。
何時の時も暖かく私を包み込む布団は、何物にも代えがたい親友そのものだ。
私の目標は今日から布団である。
そう思ったのも束の間、目覚める頃には夜更かしをした昨日を悔やむのである。
こうしたルーティーンはいつからだったか思い出せない。
私はこうして下らないミッドナイトを過ごしている。
嫌なことがあったときはさっさと寝るほうが良いのだが、いつ悔やんでもこの習慣を辞めることなどできない。
私の気持ちはこの時間によって救われているのかもしれない。
そう思うと辞めることはできない。
タバコ常習者と同じである。
と思うと途端につまらぬことをしているなという気にもなる。
1/26/2024, 12:53:57 PM