購入してから、一度も開いていない本がある
発売されて直ぐに小遣いで買った本だ
主人公と同じ年齢で読み始め、
主人公と同じく加齢して、
何年も何年も新刊を追い続けた本だった
購入してから十年以上経った、今も開いていない
主人公の冒険や感情はとうに記憶に擦り切れて
きっと最初から読み直しても
当時のようには読めないだろう
多分勿体無い事をした
その時に得られた筈の経験を捨ててしまった
それでも、それでも、
何年も追い続けたその本の終わりを
きっと大団円になったと信じているその終わりを
私の子供時代の終わりを
私はまだ、受け入れられないでいる
‹終わりにしよう›
7/16/2024, 2:16:49 PM