XXXX年X月7日
結局鐘の音を聞いたのはあの一度きりだった。
あの後、先日の診療所で入手したカルテから拾い出した転院先の病院へ赴き探索をおこなった。
この都市においてはニ、三番目程の規模の病院とみられ、病床数も診療科の数も非常に多い。
カルテの記述から『幻創病』の患者はこの病院の内科に転院しているようであったため、内科の診察室と資料室を重点的に探索する。同じ病名のカルテと関係のありそうな資料をスキャニングしたため、拠点に戻ってから検める予定だ。
内科のすぐ近く、小児科の壁に子供の描いたと思われる絵が飾られていた。
ボール遊びをする子供の絵、笑顔で並んだ家族の絵、様々なものが描かれていたが、どの絵にも太陽は描かれていない。空の色はみな灰色だ。
この土地は昔からこうだったのだろうか。
8/6/2024, 10:31:51 PM