―忘れたくても忘れられない―
忘れたくても忘れられない。
あの時聞こえた急ブレーキの音と、
その直後に聞こえたとてつもなく大きな音、
そして肉が焼け焦げるような異臭と、
元は人間だったと思われるグロテスクな物体2つ、
幸せな日々を幸せだった日々に変えた絶望。
飢えに苦しみ地を這うような生活や、
味方なんて誰もいないという孤独感。
新しい家に迎え入れられた時の安心感と、
その後の暮らしへの期待。
ようやく自分も愛されるようになった喜びと、
初めて自分を必要としてくれた人のこと。
初めて感じたときめきと、
私に特別な愛を伝えてくれた人。
そんな中、突如訪れた私の幸福を壊す人達、
その人達が私に嫉妬し、私を恨んできたこと。
久しぶりに感じた絶望と、
蓄積しては無くならない、悲しみ、苦しみ、痛み。
全て諦めようと決意した時のこと、
あの時確かに狂ってた自分、
知らないビルの屋上から見下ろす都会の目紛るしさ、
決意したくせに足の震えた自分の弱さ、
それに対するイラつき。
全部、全部、今も鮮明に覚えてる。
忘れたくても忘れられない。
忘れようにも忘れられない。
忘れたくても忘れちゃいけない。
忘れたくても忘れない。
だって、みんなみーんな、
私が私として私の人生を生きてきた証なんだから。
10/18/2022, 11:12:20 AM