記憶
私の記憶の中に存在する、あの子は誰だろう?
顔を火傷して、醜い姿を見せるなと蔑まれた彼女。それでも、折れずに頑張っていた彼女。面白い話をしてくれて、毎日隣にいた。
対して私は、何もかもから逃げ出し、罵られ、蔑まられたら最後。何も出来ないほど落ち込む。
彼女は、私とは真逆だった。
そんな私の記憶の中に残る彼女は、名前も思い出せない。誰なのかと考え、街中をふらついている。あまり親近感は無かったため、考えるのをやめた途端、一人の女が私に声を掛けた。喜んでいるような、そんな明るい声で。
「久しぶり!〇〇だよね?」
顔に火傷跡がついている女。私はその女を見つめる。親近感はないが、何故か見たことがあるように感じる。しかし、名前が分からない。
「え、お会いしたこと、ありましたっけ、?」
そうだ、そうだった。私の記憶は抹消されている
前に、頭をぶつけた。その時に、自分の名前すら思い出せないようになって、今の親が私の記憶を元に戻してくれた、、?
違う。違う。私の記憶は元には戻っていない。
元の親が、名前と今までのこと。
分からないことを話してくれた。
「思い出した、顔を火傷した、子、」
「そう、そうだよ!」
彼女は、私の前で涙を流して喜んだ。
3/25/2025, 12:56:31 PM