彗星

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題:あの時の後悔

 ーーあの時に戻りたい。
 そう思うのには、もう飽きた。
 それすらも、飽きた。

✧ ✧ ✧

 《あの時》。
 あまりにも抽象的で、興味の湧く言葉。
 私は、《あの時》の後悔が忘れられなくて、何度も戻りたいと思っている。それはもう、飽きるほどに。
 《あの時》、こうしていればママは助かったんじゃないか、と。
 最近あの子達に読み聞かせた【時を繋ぐ糸】という本のタイトルが、なぜか頭の隅にある。
 それがフィクションだと分かっていながら、私はそれを欲しているのだ。
 ーーバカみたい。
 こうやって自分を嘲るのも、もう飽きた。自分を嘲る自分がバカみたいだと、また嘲るのも飽きた。
 ……時を繋ぐ糸。
 その糸が本当にあるのなら、私はそれが欲しい。欲しくてたまらない。
 ……《あの時》の後悔を無くすために。
 後悔を。……そう、後悔を。後悔、後悔、後悔ーー……。
 こう考えるのも、もう飽きた。

✧ ✧ ✧

 時を繋ぐ糸は、見えるのかな。それとも見えないのかな。
 時を繋ぐ糸というのは、時間軸ということなのか。
 絶え間なく押し寄せてくる自分の質問に、自分は無視で返す。
 ーーそんなモノ、あるわけがない。
 そうやって、否定する。
 《あの時》のことを、ずっと考えてるくせに。
 無責任。薄情。
 それらの言葉は、私にとてもよく似合う。なんなら、私のための言葉と言っても過言ではない。
 私はいつも自嘲的で、《あの時》のことを今でも考えてる意気地なしだと思う。
 けれどそこに、一つの可能性を見出すもの。

✧ ✧ ✧

 《あの時》の後悔は、きっと一生消えない。
 なら、どうするのか。
 それはチコ達が解決してくれる。
 チコ達に囲まれて、笑って、楽しんで暮らす。
 それが、私の《あの時》の後悔に埋まった心を助けてくれるはず。
 この後悔の心を、きっとーー。

お題『時を繋ぐ糸』

11/26/2025, 11:04:47 AM