小音葉

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蒼天の下、宿願は成就した
かくして自ら砕いた羅針の欠片を見下ろしている
鮮烈な光は影を招くと言うけれど
真白く在らねば生きられず
祈る度に剥がれ落ちた
手繰る程に遠ざかった
透き通ることを誓う遥かな歳月の果て
鏡を見つめ返す瞳が消えた
傾く世界に、私だけが見えない

まだ鋭い栄冠がこの胸に突き刺さって
指の隙間から噴き出す鬱屈が沁みて
不浄の枢、垂れて滲む朱殷を見せたくなかった
かつて見た空を瞳に宿したあなたにだけは
ただ誇れる気高い光で在りたかった
柔らかなその手を取って導く風になりたかった

汚濁の海が足下に迫る
触れないで、離れて、優しいあなた
もはや呑み慣れた、舌の痺れた私とは違う
どうか捨て置いて、忘れてしまえと喉を枯らしてでも
あなたを毒に浸したくない

それなのに、瞬刻、溢れる歓喜の吐息
馬鹿な人、愛しいあなた
ずぶ濡れになって、息を切らして、血を流しても
抱き締める腕の何と温かいこと
痛みは露と散り、汚濁を顧みず、罪禍を射抜く
剣でもなく、矛でもなく、言葉に宿るあなたの献身
正邪錯綜してこそ畢生の路と肯う背の力強さよ
私が選んだ出会い
最上の幸福をこの胸に抱いて

泡のように浮上する
朝が来ても弾けないで
あなたと歩む、肩を並べてまだ歩み続ける

(新しい地図)

4/6/2025, 11:20:30 AM