2024.02.16 お題:「誰よりも」
#.hpmiプラス 🎲(🎲でてきません)
「もういいかい」「まあだだよ」「もういいかい」「もういいよ」
公園に響き渡る子どもたちの声を聞きながら、自身の幼少期の記憶に想いを馳せる。
そうやってかくれんぼをして遊んだのはもう何年前の話だろうか。
私はかくれんぼが大の得意で、最後まで見つけてもらえないことが沢山あった。みんなで探し回られたことだって何度もある。
そんな時、誰よりも早く見つけてくれた男の子がいた。青い髪の毛にサイコロのアクセサリーを身につけたその子は、どこでかくれんぼをしていても真っ先に私のことを見つけてくれて、その子が鬼の時は、必ず私が一番最初に見つかってしまうのだ。私はそんな彼が好きだった。彼の名前は――。
そこにふと1枚のフライヤーが私の足元に落ちてきた。
“FlingPosse ○th Live”
そう大きく書かれたフライヤーに使われていた写真に写っていたのは、ピンクの髪の男の人と着物を着た男の人、それから青髪の男の人。
写真のすぐ近くに“帝統”と書いてあって、私はそこで確信した。この青髪の男の人はかくれんぼでいつも私を見つけてくれた子だったのだ、と。
思い出してからは、また彼に見つけて欲しい、そんな気持ちがどんどん膨らんで、どうしようもないほどまでに育ってしまった。見つけた、なんて言わなくていいから、その素敵な笑顔を私に向けて欲しい。それがたとえ私一人だけに向けられたものでなくてもいい。それでも、もう一度彼の笑顔を見たかった。
誰よりも早く私を見つけてくれた彼ならきっと、また私を見つけてくれる――そんな淡い期待を抱きながら、私はライブのチケットを購入するのだった。
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乱数くんお誕生日おめでとうございました(大遅刻)
2/16/2024, 2:55:27 PM