「吸血鬼っていうくらいだからさ、太陽の光とか苦手だったりする?これまで気にしてなかったけど」
ふとそんなことを思った。
この人は自分の弱みは言わないところがあるから、隠しているのかもしれない。今私達二人に降り注ぐ陽の光に何か思うところが、実はあるのかも。
「いや、特に苦手ではないな」
「なーんだつまんない」
心配して損をした。
「陽が苦手というのは元々迷信で、我らが夜行性だったことからそう言われていただけだ。今はすっかり夜に寝て昼に活動しているし、生活スタイルはほぼ人間だな」
「やっぱつまんないな」
「そんなことを言われてもな…」
苦笑する、すっかり退化した吸血鬼の彼。
「でも、日中を心置き無く楽しめるのはとてもいいことだ」
「それもそうだね」
陽の下の私達はそう話した。
11/26/2024, 9:35:19 AM