菜な子

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病室に、1人。
点滴に繋がれた私の隣に、
透けている同い年くらいの男の子。
彼、前にこの病室に入院してたんだって。
何しに来たんだろうって思ってたら、
私の心を見透かしてかこう言った。
「同じ病室って何かご縁的な物を感じるじゃん?」
だってさ。
彼は死んでるんだから、ご縁も何もないでしょ。
そう思った。
その日、私は死んだらしい。
「案内したげるよ。」
そう言って天国に案内してくれたのは、
あの男の子だった。
まさかこんなご縁だなんて、思いもしないじゃない?

病院にあたし1人。
苦い薬を飲み終えたあたしの隣に
透けている女の子が1人。
彼女、前にここの病室に入院してたんだってさ。
何しに来たんだろうと思って聞いてみたらさ
「同じ病室って、何なご縁があるじゃない。」
だって。何言ってんのって思ったよね。
その日、あたしは死んだんだって。
「案内するよ。」
そう言って案内してくれたのは、
あの女の子だった。


「病室」

8/2/2022, 1:50:40 PM