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気づいて欲しいような、そうでないような、静かな情熱をもって、前を向くふりして、たまにあの人を見つめる。私の物語はなかなか前に進まないし、新書が始まることもない。と思っていたが、物語の始まりはいつも突然に始まるもので、夕方なんとなく家に帰るのが億劫で、誰もいない所で、影絵を作って遊びながら寂しいと独り言。

すると、後ろから影が伸びてきて、寂しいのか、とあの人に声を掛けられた。その後は何を言って、そうなったかは分からないが、寄り道をしたりして、星明かりのなか一緒に帰ることになった。

脈絡のない、たわいもない話が、こんなにするすると出て、家までの時間があっという間に過ぎるなんて思わなかった。送ってくたことに感謝を述べて、あの人が、また明日と背を向けた時に、楽しかったと私にしか聞こえないような、ささやきが自然と口から出る。だけどあの人は聞き逃さなかったのか、振り向いて目を細めて笑い、自分もそうだと言った。

これが私の恋愛編の始まりだった。

静かな情熱(4/18)物語の始まり(4/19)影絵(4/20)星明かり(4/21)ささやき(4/22)

4/21/2025, 10:16:34 PM