「あのブサイクが、よくーー君の隣歩けるよね」
「本当にね笑笑」
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。
きっと彼女達は私とーー君がここで聞いているなんて思ってはいないのだろう。
隣にいるーー君はどんな顔をしているのか、怖くて確かめる事ができない。
私が不細工なせいでーー君にまで迷惑をかけてしまう。
「もし、自分の事を好きになれたら、、、
来世も自分がいいって思えるようになったら貴方の隣に立てる女性に、素敵な人になれますか?」
そう言って彼女は涙を零す。
さっきの事を気にしているのだろうか、
俺は、今のままでも十分素敵だ。と言いたい気持ちをぐっと堪えて。
うん、と言った。
彼女はきっと俺が気を使って返事をしたのだと思っているのだろう。
本心なのに。
きっと今の彼女にに何を言おうと僕の気持ちは届かない。
見守ることしかできないことにもどかしさを感じるが、彼女の選んだ道を僕は尊重したい。
丁度明日から長期の休みに入る。
きっと彼女に会えるのは休み明けになるだろう。
結果はどうであれ、彼女の頑張りを認めるつもりだ。
、、、なんて考えていたあの時の俺を殴ってやりたい。
目に飛び込んできたのは透き通る肌と流れるような黒髪。俺を見つめる大きな瞳と花が咲くような笑顔。
誰もが振り向き惹き付けられる。
そんな女性。
認めるつもりだなんて何様だ。
烏滸がましいにも程がある。
これだけ変わるのにどれだけ努力をしたのか、理解せずとも考えはできる。
群がる男共の間を縫って戸惑っている様子の彼女の元へ行く。
彼女の熱を帯びる手を取って駆け出した。
「、、、私、変わることができたかな?」
彼女は遠慮がちに問いかける。
「うん、、、見違えたよ」
俺は素直にそう答える。
すると彼女はありがとうと微笑んで言葉を続ける。
「あのね、ーーくんだけなの、、私に気づいてくれたの。皆私が誰だか分かっていないみたい。」
始めましてって言われちゃった。
そう言って彼女は笑う。
「、、、私、自分に自信が無かったんだ。
だから変わるきっかけをずっと探してた。
でも、君に会って君を好きになって君の隣に居たいって思うようになった。だから君の隣に並んでも恥ずかしくないようになりたかったんだ。なんてただの自己満足──」
「好きだよ、ずっと前から」
彼女の努力を否定して欲しくなくて思わず言葉を遮ってしまう。
彼女は驚いた表情をしていたが、続けさせてもらう。
「いつも周りの事を見ていて、貧乏くじ引いちゃうところも、悲しそうな人を見るとつられちゃうような所も何もかも全部僕は愛おしいと思ってた。
だから、こんな俺で良ければ付き合ってくれませんか?」
俺がそう言うと彼女は目を潤ませてはい、と頷いてくれた。
8/2/2025, 3:59:11 PM