宵闇に紛れる黒衣の背中。
子供の頃から見慣れた姿。
ピンと真っ直ぐ伸びた背の主の視線は
微かな星明かりに向けられる。
その背中に触れてみたい。
彼が見ているものを見てみたい。
言葉に出せない願望は胸の中に燻り痛みを伴う。
見ている事しかできないもどかしさに
息が詰まりそうになる。
彼は多くを望まない。
「傍に居てくれるだけでいい」と。
それは言葉少なな彼の本心だと思いたい。
そうだとしても後ろから見るのではなく
傍らに立ちたい。
彼の見ている世界を見てみたい。
4/20/2025, 11:02:47 AM