眩い日差しを真正面から浴びたのはいつ以来だろう。あの日以来、日光を浴びるのが怖くなってしまった。
真夏、日差しが照り付ける灼熱の暑さだった。うるさい程鳴り響く警音器と、色んな人達の悲鳴。自分の体に飛び散った、生温い液体。
真っ白なTシャツが赤く染まって、私は1人になった。
怖い。昼が来るという事が。昼という時間が。また誰か奪われる様な気がして、ずっと夜だったらなんて考える。
「あそこのお嬢さん両親を交通事故で亡くしたらしいわよ」
街を歩く私を気の毒そうに見ないでくれ。
「まだ若いのに……大変だな」
哀れんだ視線を向けないでくれ。
「……夜の仕事、してるらしいわよ」
昼外へ出られなくて、それしか生きる術がないの。
「…………本当に、残念だな」
うるさいうるさいうるさいうるさい。何もしてくれない癖に、口だけ噂だけダラダラ流して。
皆、日差しの中で消えてしまえばいい。
『日差し』
7/2/2024, 11:08:03 AM