題 どんなに離れていても
姉が好きだった。絵本を読んでくれる時、優しく包み込んでくれそうな声。撫でてくれる時少しひんやりしてるけど太陽みたいにポカポカと心があったまるんだ。
でも、だんだん姉さんの寝ている時間が多くなった。
白い無機質な部屋の前には3桁のプレートの下に苗字のプレートがある。姉さんはその部屋の白いベットでいっぱい管がつながった状態で帽子を被りながら寝ている。最近は姉さんが起きている時間が30分もない。
_______そんなある日。姉さんが、言ったんだ。
『おねぇちゃん。遠くに行くことになったの。』
『ずっと、ずっ〜と、遠く。』
『雨が降った時は、雲になって。
晴れた時は、太陽になって。
夜になったら、お月様になって。
お月様のない夜は、お星様になって。』
「いろんなものになれるんだ。おねぇちゃん、
すごいね!!」
————-そんな会話をしたような気がする。それきり、
姉さんに会うことは叶わなくなった。
『どんなに離れていても、貴方を見ている。
だからね。』『幸せになってね。誰よりも。』
と指切りしたその日の夜に。
4/27/2025, 9:57:02 AM