中宮雷火

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【横並び】

2:1。
前に2人、後ろに1人。
決まって私は後ろ側だ。
3人で帰る道は、楽しそうに話す2人を眺めるばかりでつまらない。
もし私に、ほんのちょっとだけ勇気があったならば。
「あ、そのドラマ観てるよ!」とか言えて、 
会話に混ざることができるのだろうけど。
私にはあと一歩、踏み出す勇気が足りない。

今日こそは、今日こそは。
私は鞄をぎゅっと握りしめた。
誰も気づかないくらい静かな深呼吸をして、
私は一歩踏み出した。

ガサッ

少し背の低い木にぶつかった。
葉っぱが邪魔すぎる。
前の2人は話に夢中で、私になんか目もくれない。
はぁ…。
私は溜息をついた。
やっぱり私は、2人にとって「友達」では無いのかもしれない。
この大きな溜息すら、2人は気づいていないから。

「仲間」がいれば、と考えた。
「仲間」というのは、ある目標に向かって一緒に頑張る人のことだ。
仲間がいれば、私は横並びになれるのに。
ただの友達じゃ、私は横に並ぶことを許されないのだ。

私は空を見上げた。
雨が降れば、こんな時間は直ぐに終わってくれるのだろうか。

12/10/2024, 2:05:02 PM