とある恋人たちの日常。

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 肌寒くなってきて、衣替えをしていると冬に良く着ているVネックのセーターが出てきた。割と長いこと着ているから伸びている。少しというか、裾は結構伸びていた。
 
 俺はそのセーターを持ち上げて見ていると悪い考えか過ぎる。
 
「ねーえー」
「はーい」
 
 離れた場所で同じように衣替えをしていた恋人のところにそのセーターを持っていく。
 
「なんですかー?」
 
 端からひょこっと彼女が顔を出した。
 
「はーい、ばんざーい」
「ばんざーい」
 
 相変わらず曇りのないまなこで言われた通りに両手を挙げる。それを確認した俺はお気に入りのセーターを彼女の頭から被せた。
 
「わっぷ!?」
 
 するすると俺のセーターを着せると……。
 
 ……あ、これはダメだ。
 
 何がダメだったかと言うと、俺の心と身体がイロイロとダメだ。
 
 彼女は家用の短パンを履いていて、俺のセーターの裾の方が長い。男女の体型の差もバッチリ出ていて、俺の肩幅で止まっていた肩部分が、彼女の肩では止まらないのでスルリと腕の方に落ちていた。
 
「なんですか? セーター?」
 
 彼女は肩を抑えながら、全体を見ようと鏡の前に立った。
 
「あ! よく着ていてたセーターだ!」
 
 身体を動かして無邪気な笑顔で俺を見つめてくる。
 
 うん、凄く可愛い。
 自分のセーターがこんな効果を発揮するとは思わなかった。
 
 俺は彼女を後ろを抱きしめる。
 
「?」
「いや、ごめん」
 
 予想していた以上に彼女が可愛過ぎました。
 
 
 
おわり
 
 
 
一九二、セーター

11/24/2024, 11:55:32 AM