40. 光と闇の狭間で
その店に定休日はない。開けない日は「今日はお休みします」とマジックで書かれた紙っぺら一枚が貼られる。行ってみるまでのお楽しみ。今のところは2勝3敗。と言っても2連敗中である。
今晩こそはと店を目指して歩くと、やっと兄さんの姿を見れた。連敗は2でストップ。挫けずに来た甲斐があった。閉まっているのではないかと一見不安になる仄暗いキッチンも何だか貴重な光景に見えてくるから不思議だ。
注文を済ませて兄さんには天井が低そうなキッチンを一通り見渡すとやはり視線は一処に集まる。ジリジリと焼ける光と暗い厨房を行ったり来たり回り続ける姿は実に食欲を唆る。こっちは鶏肉、こっちは豚肉だろう。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
「ありがとうございました」
手には待ちに待ったケバブ弁当、浮かれながら駅へ急いだ。
12/3/2024, 7:19:23 AM