Open App

心のざわめき

「今回、2年A組では『ロミオとジュリエット』をやります!」
劇という初めてな体験に、心を躍らせたクラスメイト。
姫役は、1番クラスで可愛い河井さん。
「河井さん、ウエストを測りたいんだけれど…」
と、私が言う。
「いいよ!」
グッ…笑顔が可愛い…
河井さんは、誰も彼も虜にしてしまう…

「ねぇ、谷口さん…暇なら、セリフ練習に付き合って欲しいんだけれど…今日、ロミオ役の原くんが休みで…」
「河井さん、いいよ。」
特に用事もないし。

「ああ、ロミオ、どうして貴方はロミオなの。」
心揺さぶられる演技…凄いなぁ。
私も小さい頃に、1人で読んだな。
「谷口さんのセリフだよ!」
「えっ、あ、ごめん」
そうして、時間はあっとゆうまに過ぎていった。

そして、前日体育の時間。
「男子女子、整列ー!!」
先生がそう言って、みんな集まって行った。
ドンっ!
嫌な音がした。
「河井さん!」
「うっっ…痛い…」
男子とぶつかってしまった河井さん。
河井さんは足を捻ってしまったのだった。

「どーすんだよ!!」
「劇明日だぞ!」
私なら、セリフは分かる。代わりー・・でも、私でいいの?
「谷口さん、セリフ、わかるよね?」
河井さん?
「う、うん」
「谷口さんに、代わりをやってもらいます!」



「谷口さん…やるじゃん。」
「河井さん…ありがとう」
多分、ステージに立ったときのあの心のざわめきは、一生忘れない。

「心のざわめき。」

3/15/2025, 12:36:24 PM