一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→思い出・真夜中の太陽

 15年ほど前、ヨーロッパのとある国に住んでました。
 夏のバカンスに浮かれて、何処か旅に出ねばと勢い込みノールカップという場所に決めました。白夜って単語が醸し出す雰囲気、ヤバくないですか?「沈まぬ太陽と白む夜空」なんて、ねぇ? 雰囲気言葉ヲタクの心にズキュン☆ですよ。
 ノールカップはノルウェー北部の岬でヨーロッパ最北端に位置する、らしいです。夏は白夜、冬はオーロラで賑わう観光地です。
 飛行機を乗り継ぎ長距離バスに乗って、ホニングスヴォーグという街に到着。そして最後の難関、ノールカップ行きバスの3時間待ち! 時間つぶしに入ったカフェで、眠りそうになると店員さんに何度も起こされ、仕方なく街を彷徨うも夜中なので店も開いておらず途方に暮れ、歩いてるうちに見つけたホテルのロビーで待たしてもらうことに。カフェでの失敗を繰り返すまい、ホテルだから他の客にも失礼だと思い「絶対に寝ないから」と宣言した矢先に寝落ち、慌てて起きる、を何度も繰り返しました。ロビーの人、笑ってたな。まぁ、笑うわな。
「沈まない太陽と白む夜空」の旅程まで美しくしたいと思ってたんですけど、ムリでしたわ。
 兎にも角にも、バスに乗ってノールカップに到着。
 第一印象、ノールカップの空は淡かったです。薄雲がかかってました。白い夜ってのがピッタリだなぁと思いました。その幻想的な様子は、まさしく北欧神話の原産地だとニンマリ。
 ノールカップは展望台になっていて、先に進むと巨大なオブジェが現れます。地球儀の骨組みみたいなヤツ。アイツ、写真映えしますよ。雰囲気バッチリですわ。

 そして太陽。
 朝日でも、夕日でも、真昼のものでもない、私の知らない色の太陽。
 あぁ、このきらめきは忘れたくないなぁ、とぼんやり見てたことを覚えています。そしてほとんど写真を撮らなかった。
 夏の終わり、そんなことを思い出したりしましたよ。

テーマ; きらめき

9/4/2024, 4:45:28 PM