怖がり
園庭の縁に座り、語る。
指先でなぞる汗を弄びながら、近況やら文句やらを垂れ流しながら、目の前を通った犬の散歩をしている主婦の装いをした一般人を横目に、顔を近づける。
ペアルックでもなく、お揃いのアクセサリーを身につけているわけでもない。ただ二人で、庭園から横断歩道に走り出して、向こうの歩道の、夜空を反射した水面に足をつけて、冷たいねといいながら、そのうち肩まで浸かっていく。水面の底は黒くてよく見えなかった。
野良猫の喧嘩。
誰かがすすり泣いていた。
少し歩いたところにあった階段を潜ってみると、水没した地下駐輪場に、色とりどりの熱帯魚が泳いでいる。手のひらを除いた冷たいだけの皮膚感覚の中で、必死に体を強張らせまいと蹴伸びをしたけど、足元に壁がなかったので、ただただ間抜けな行動をとっただけになってしまった。
あなたの背中のその奥で、濁った細かい土が、舞い上がっているのが見えた。
自分を含め、皆が知らない間に大人になる。
一方向に悠々と泳いでいた熱帯魚が散開し、突如として無数の泡で視界が遮られた。
沿道を飲み込んだ濁流は梅花皮が浮かんだ皮表を解放したのちに、ちぎれた街路樹の枝先となって自分の心臓を貫くのだろう。
3/17/2026, 3:27:25 AM