とある恋人たちの日常。

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「ねぇねぇ、もしもタイムマシンがあったなら、過去と未来どっちに行きたい?」
 
 青年は、無邪気な笑顔を向けて恋人に問いかける。
 
「えーっと……」
 
 彼女は言葉に困ったようで、苦笑いしながらどう答えるか迷っていた。
 
 しまったなと、青年は思った。
 
 過去について聞いた時、彼女が言葉に詰まっている姿を何度も見ていた。その事を失念していたのだ。
 
 最初は小さな違和感。回数を重ねるごとに、それが確信になったのだ。
 ただ、そのタイミングはそれなりの時間が経った後なので、どうしても忘れてしまう。
 
「あー……ごめん」
「え?」
 
 青年は、謝りながら彼女の手を握る。
 
 彼女の過去なんて、正直関係ない。
 今、ここにいる彼女が大事で、誰よりも愛おしい。
 
「タイムマシンなんて……要らないね」
 
 青年の言葉に驚いて、見上げる。その瞳は潤んでいた。
 青年の胸は締め付けられて、彼女を抱き締める。
 
「はい。一緒にいて欲しいです」
 
 彼女も青年を強く抱きし返した。
 
「大好きだよ」
「私も、大好きです」
 
 過去なんてどうでもいい。
 未来は……共に歩んでいけば良いんだ。
 
 
 
おわり
 
 
 
お題:もしもタイムマシンがあったなら
 

7/22/2024, 12:57:53 PM