烏羽美空朗

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薄暗い六畳の部屋。その三分の一を占める本棚の整理をしていると、時々、ものすごい不安が脳裏をよぎる。
俺の末路は、いつかこれに押し潰されるといった物ではないだろうか、と。

小説やら辞書やらがぎっしりと積められた四つの本棚は、どれも壁に固定されておらず、なおかつ一つ一つの段がばらばらでただ重ねただけになっているので、本をさしこむ度にくらくらと揺れる。地震が来れば真っ先に倒れるのではないかと思う程に目に見えた危険だ。

布団で寝ている時も、書斎机で仕事をしている時も、ただ、この部屋にいるだけでも。本が増える度に段を組み立て、天井ぎりぎりまで成長してしまった四つの本棚が倒れてきた時、そこに逃げ場はない。

大好きな本に押し潰される最期……俺としては、幸せな部類の末路な気がして……。

……いや、危険な状態を放置する訳にはいかないだろう。今度、良さげな固定方法を考えなければ。

脳裏

11/9/2022, 11:08:49 AM