シロツメ ナナシ

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『幸せに』


幸せに―――


……嘘でもその一言が言えなかった

喋るのもいじるのも
ちょっかい出すのも

特別好きな訳じゃないけど
でも……私は…、
「その状態を味わえるのが自分だけ」
なのが気持ちよかったが故に

彼が徐々に周りに馴染んで行ったり
ほんの少しでも成長して行くのが
だんだん私だけの特権じゃ無くなることが
変にムカついて行ってしまった……

もう一度言うけど
本当に別に好きじゃない

なのに……あいつが
よそで笑ってるのがムカつく
他のヤツと笑ってるのが気に入らない

私にとっては普段通りに過ごしてるけど
あいつは気づけば
どんどん幸せになって行ってた


私が……私のおかげだと思ってなのに

……多分きっと
それはそれで事実
…けどそれはあくまで……
1番最初のきっかけ、そよ風程度の
そこから先は……
彼自身が自分で頑張っただけ……で…


気がつけば結婚までしていた
私は相変わらず、別に彼を好きじゃない
好きじゃないのに……
他のヤツと笑ってるのが
ただ気に入らなかった

それでも彼と話す時は
なんかやっぱり楽しいのは楽しいから
私は「いつも通り」を演じた

そして最後まで私は
お幸せに―――、と
その一言だけは言えないでいた―――


私は……どうしたいんだろ……



〜シロツメ ナナシ〜

4/1/2026, 5:37:21 AM