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頭が良くて、運動もできて、綺麗な顔立ちをしているまさに理想の人。それがあなたで私の友人。私のほうといえばこれといった特技も勉強が出来るわけでもなくいつも劣等感のようなものが心の中にあった。いつも私ができないことはあなたはなんでもできてしまう。
「本当にいつもすごいね。今日もテスト、学年一位だったんでしょ?」
「あはは、たくさん努力してきたからね。逆にいえば努力しなければなんにもできないただの凡人だよ。」
その言葉に苛立つ。私は努力してもあなたのように一位をとることもたくさんの友達も部活で大会の選手に選ばれることさえできない。誰にも見向きもされない。努力だけじゃない、才能もあるからあなたはなんでもできるのよ。けれど、私はそれを口には出さない。だって、そんな事しても私が惨めになるだけ。
「そっかー、相変わらず努力家ですな」
「ふふっ、何その口調」
優しい瞳が私を見つめる。ああ、せめて何もできない私を見下していてよ。こんな思いを抱えている私が馬鹿みたいじゃない。そうして、日々が過ぎていく。心の中にある劣等感は日に日に大きくなっていく。私はいつになったらこの醜い嫉妬を終わらせることが出来るだろうか。

『理想のあなた』

5/20/2023, 10:30:53 AM