【追い風】
しんとしていて空の青色は薄くどこまでも広がっている。
だれもいない中でただ一人 足をみぎ、ひだりって交互に動かす。
辺りの木はすっかり枝だけになって緑なんかありやしない。
たった1枚枝に残った枯葉ももうじきビュンっと飛んでいきそうだ
あの橋までもう少しなのに
目前に来てぐだぐだと後ろをふりかえって、なんて情けないんだ
そう考えていた時、とつぜんふっと顔を上げる。
いつのまにか白く染ってしまった髪の毛が
自分の視界をばさばさと遮る
ああそうか、
私にはいつでも背中を押してくれた――があったじゃないか
さあさあ、最後に私をあそこまで連れて行っておくれ
私はもうとことん私を楽しんだんだよ。
「ありがとう」
どこかで誰かの泣く声がする。
私の目はもう開かない。
1/7/2025, 1:13:19 PM