「言葉を少し付け足せば、『あなたは誰と「最初のカントー」を旅しましたか』とか、
『あなたは誰かを頼ることを覚えなさい』とか、
まぁまぁ、Who are you以外も書けるわな」
あとはアレか。「あなたは誰からもマークされていません!ボールを受け取り、ゴールまで突っ切りましょう!」にすればサッカーも書けるな。
某所在住物書きは今回のお題を見ながら、ぽつり。
なおスポーツ系の文章描写は完全に不得意である。
「あなたは誰からも愛されない」にすれば、昔の海苔巻きミームでも書けるかもしれない。
「……メタフィクションネタ?」
突然、カメラ目線をキメる。 1カメ、2カメ。
『あなたは誰に向かって話をしているのだ』。
――――――
カッコいい系のおはなしをご用意しました。
普通の生活、普通のアパートの中に、突然不思議な悪者が入ってきて、
誘拐されそうになったところに、見覚えのある人物が丁度さっそうと現れて撃退!
そして言うのです。
「あなたは誰ですか」
「まだ伝えるべき時じゃない」
さぁ、厨二ふぁんたじーの、はじまり、はじまり。
最近最近の都内某所、某アパートの一室です。
お題回収役は名前を藤森といいまして、
今月で今の職場を辞めて、来月から前々職の私立図書館に復職予定。
今の職場の後輩も、一緒についてきます。
「まさか、あの図書館に戻ることになるとは」
前々職の図書館は、藤森にとって働きやすく、居心地もそこそこ良い図書館でしたが、
実は妙な噂話も存在する、不思議な図書館でした。
いわく、この図書館で●●年前、同人ゲームが生まれて育って、大きなソシャゲに成長したけれど、
実はすごく低確率ながら、ゲームの登場キャラ本人と、図書館で遭遇することがあるとかないとか。
いわく、「市」立ではなく「私」立、かつ大規模な図書館なのに、日本のどの企業も、世界中のどのセレブもバックに付いていないのは、
実は「ここ」ではないどこか、別の世界の大きな団体が、バックに付いて建てたからだとか。
そして、いわく、その図書館には隠された「地下●階」と「地上●階」があり、
そこで、実際に「ここ」ではないどこかの世界の組織が、世界のために働いてるとか、何とか……。
まぁフィクションですので。
「マンガやアニメ、ゲームでもあるまいし」
さぁ。前フリが終わりました。
そろそろお題回収に入りましょう。
ピンポン、ピンポン。
藤森の部屋に、夜、インターホンの音が響きます。
「条志さんか?」
藤森の部屋には、その当時、
藤森の隣に3月から越してくるという「条志さん」が、時折やってきて、晩ごはんを一緒に食べつつ会話をすることがありました。
「今日は珍しく、ドアから入ってくるんだな」
条志さん、何故か藤森の部屋のベランダの、窓から入ってくることが多いのです。
今回は、行儀が良いようだ。
藤森が小さなため息をひとつ吐いて、自分の部屋のロックを解除し、そしてドアを開けると、
どだだだだっ!
突然、黒スーツの妙な男女が数名入ってきて、
藤森を床に組み伏せ、縛り上げてしまいました!
口を押さえられていて、藤森、声も出せません。
「間違いない。こいつだ」
リーダーのような男が藤森の目を見て言いました。
こいつって、誰でしょう。人違いじゃないかしら。
「対象確保。勘付かれる前にズラかるぞ」
なんだ、何が、どうなっている。
頭にはてなマークを量産し続けている藤森が、アパートから運び出されそうになった、
まさに、そのときでした。
「誰に勘付かれる前にズラかるって?」
藤森の隣に3月から越してくる、例のベランダ進入常習犯、「条志」さんが、
「そいつは3月から、『あの図書館』の職員だ」
藤森を縛り上げたやつをズバン!どしゃん!
「『例の図書館にいる者、例の図書館の関係者は、誰であれ、攻撃してはならない』。
まさか忘れたワケじゃないだろうな」
数秒で、カッコよく、やっつけてしまいました!
黒スーツの連中は、何も言わず、逃げていきます。
「条志さん、これはいったい、」
縛られた縄もテープも解いてもらって、藤森は自分を助けてくれた条志に聞きました。
「いったい、あなたは『誰』なんだ……?」
「まだ言えない」
条志さんは、何も教えてくれません。
「『まだ』、な」
ただ黒スーツが逃げていく先を、鋭利な視線で、見えなくなるまで、追うだけでした。
2/20/2025, 3:04:07 AM