星座
最初は、関係の無い個々としての存在だ。誰の力も借りず、衝突で生まれ、自らが光だし、その光が何かに届いた時、初めてそれを「星」と呼ぶ。
思えば、星座というのは人間の手で生み出されている。遠い昔の洞窟から真っ暗な空を見上げた人間から、望遠鏡を担いで観察をする研究者までも。彼らがいるから、いたから、伝説は生まれたのだろう。
そうして、繋がりのなさそうな点と点を関数のごとく結び、星座へと成っていったのだろう。
それは、星だけではないのだろう。
「えっ、お前もこのアニメ好きなの?」
それは、とあるアニメショップでの一幕。好きな作品の新作グッズが出たから、学校帰りに寄った時。
普段は多くの友達に囲まれ、教室の話し声の大半を占める彼が、1人でこの店に寄っていた。
そうだよ、と僕は頷くと、「嬉しい」という表情を隠しきれず手に持ったグッズをそのまま、隕石の如く近付いてきた。
「まじか!!俺この話題話せるの誰もいなかったからさー、めっちゃ嬉しいわ!」
意外だ。彼らの話をしっかり聞いていないが、このアニメの話をしているのかと思った。
「えっ、どの話が好き?てかさ、電車一緒だったよな?語りながら帰ろうぜ!」
僕の意見を無視したまま、流星群のように話を畳み掛ける。
でも何故かそれが、うざったらしくなくて、むしろ、輝いて見えて。
僕も欲しかったグッズを手に取ると、うん。と頷いた。
どうやら、人間がいないと星も縁も結べない。
この作品も、生み出されなければ、もっと言うと作者、人間がいなければ、僕達はここで話さなかった。
出会わなかった。そういう意味じゃ僕らも星なのかもしれない。
「ランダムグッズ、1個ずつ買って誰出たか見ようぜ。」
「いいねそれ。」
星の見えない真っ暗な空と、眩しすぎる街灯を浴びながら、僕と彼は横並び1列になった。
10/7/2024, 3:53:35 AM