今日は七夕。だから短冊に願い事を書いている。
これは夏に入ってからずっと悩んでいる事だ。コレは母さんにも言ったんだ。でも、母さんに言ってもどうにかなる事じゃなかった。
だから俺は藁にも縋る思いでショッピングモールの笹に短冊をくくりつけて、手を合わせる。こんな事意味ないと分かりながら。
一説によると七夕の願い事は織姫様が叶えるらしい。お願いします、織姫様。どうか、どうか、俺の願い事を聞いてください。
これからは夜更かしも、塾をサボる事もしませんから。
10分程その場に居ただろうか。流石に周りから変な目で見られるのでその場から足早に退散した。
家に帰ってきてからも、俺は天の川を見ながら手を合わせる。
そして恐る恐る母さんに聞く。
「今日の夜ご飯何?」
母さんはにっこり微笑んだ。ほっとしたのも束の間。
「豚とキュウリの炒めものよ。」
食卓に並んでいくキュウリ達を見ながら絶望する。
あぁ、織姫様。貴方はなんて残酷なんだ。俺はあんなに願ったのに。
"もうキュウリは食べたくない"
ってさ。
7/7/2025, 12:19:19 PM