あなたに教えて貰ったこと
あなたが見せてくれたもの
あなたが好きだったもの
みんなみんな、忘れないから。
そう言うと、病床の彼は呆れたように笑って鼻を鳴らした。
「やっぱり分かってない」
「なにが?」
「僕の気持ち」
「なんでよ。あなたの気持ちを一番理解してるつもりだよ?」
「·····忘れていいんだよ」
「え?」
「僕のことなんか忘れていいんだ。君を残して先に消える僕の為に、脳の容量を使う必要なんてない。これからは君の見たいものを見て、君の好きなものをたくさん詰め込んで、君という存在を確定するんだ。
なんて言ってた彼のことを、私はいまだに忘れられずにいる。
END
「きっと忘れない」
8/20/2025, 5:17:41 PM