Ponnu

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途中書きです。すみません。

雪の結晶をプレパラートにのせて溶けないように急いで家の顕微鏡で観察した思い出とか、雪だるまの玉を小さかった頃の自分の腰くらいの大きさにまで成長させた思い出とか、雪の上で思いっきり転けて人型の跡を作った思い出とか、雪はたくさんの思い出を運んでくれる。
もちろんホワイトアウトの思い出も。


「雪を待つ」

昔、スキー場でホワイトアウトに遭遇した。
最後にあと1本滑ろうかと言って滑っていた最中のことだった。
もともと天候が悪く視界も悪かったが、そのスキー場の特殊な地形も相まって、谷は猛吹雪となった。
ゴーグルに雪がはり付いて視界がすぐに白くなり、ゴーグルの雪を払っても1メートル先の地面がもう見えない。
皆の声は吹雪の緩急のおかげで微かに聞こえるけど姿は見えない。
指先の感覚がなくなって、冷たいのか熱いのかわからなくなる。
世界に私一人だけの空間。

私はここで死ぬみたいだ。
そう死を予感した時だった。
吹雪の向こう側に影が見える。
こちらへと近づいてくるその影。
吹雪が途切れて姿を現したのは、白一色のワンピースを着た女の子だった。
雪がキラキラと反射して輝いていてそこだけ眩しい。
女の子は指を指し、その女の子の示す方へ私は進んだ。

「ここは…」
「目を覚ましたようだね」
昨日泊まった宿のおじさんがそこにはいた。
「他の皆は?」


12/15/2024, 11:36:03 AM