「遠い約束」
あの日に貴方と交わした約束は、果たされる日が来るのだろうか?
遠い遠い過ぎた日に、幼かった私達が交わした、他愛もない約束。
「いつか年を取って、お互いにパートナーがいたり、結婚したりしてても。それでも、もし80歳まで生きてたらその日に2人が出会った場所で会おう。多分お互いに色々あったとしても、その頃には笑って許せるだろうし、お互いのパートナーも、生存確認位は許してくれるだろうから」
そう言って、2人で笑い合った。
あの頃はずっと先だと思えていたその日。
ずっと先だと思えていたからこその、無責任な約束。
でも、私はずっと心の何処かで、あの約束に縋っていた。
酷い別れ方をした。
貴方の狡さも、弱さも、汚さも、全て見た。
私の傲慢さも、弱さも、情けなさも、全て見せた。
それでも、私は貴方を憎めなかった。
そして、貴方も多分、そうだった。
お互いが、お互いの中に、心の一部を残したまま離れてしまった。
憎み合えたなら、楽だったと思う。
軽蔑し合えたなら、残滓さえも残らなかったかもしれない。
でも、現実はそのどちらでもなく、中途半端に許せず、中途半端に未練を残し。
そして、ふとした時にいつも思い出した貴方との約束。
「馬鹿馬鹿しい」そう笑い飛ばす自分は、ホントにそう思ってる?期待して傷付くのが怖いだけの、中途半端な私。
ホントは、心の中では。
その年になってもう先が見えてきているだろうから。
だったらせめて。
もう一度、貴方に逢いたい。伝えたい。抱き合いたい。
そして、遠い日の約束に縋らないと生きていかけなった私を終わりにして。
心残りのない、スッキリとした私で、残りの人生を歩みたい。
もしかしたら、貴方を一目見たらそれも叶わず、又苦しむ日が、来るかもしれないけど。
余計に気持ちがつのるかもしれないけど。
それでも、会いたい。
もしあの日の約束が叶うなら。
そう願わずには、いられない。
4/8/2025, 12:49:10 PM