「私、来週引っ越すんだ」
貴方は、真剣な顔でそう言ってきた。
4月1日。今日はエイプリルフール。親友で、何をするにも、行くにも、食べるのも、全部一緒だった貴方の口から、信じられないような言葉だった。
私は、ビックリして5秒くらい固まった。
「ごめん、言う日間違ってるかもしれないけど……今しかないかなって」
「……嘘じゃ、ないの?」
「うん」
貴方が言うには、県外に行くとかそういうのではなくて、海外に引っ越すらしい。頭が追いつかない。でも、私は情けない顔を貴方に見せたくなくて、
「海外着いたらさ、連絡してね。写真とかも待ってるからさ」
「はは、旅行に行くわけじゃないんだよー?」
「だって、海外だなんて、とても凄いよ!」
語彙力の無い言葉を並べて、悲しさを紛らわす。
「あ、私も言いたいことがあるんだった!」
「ん?なに?」
「貴方のこと、ずっと大好きだよ!親友として!」
「……ありがとう。また、きっと、会いに行くから」
貴方は、泣き崩れた。
私は貴方に、嘘をついた。だって、エイプリルフールだもん。
親友としてじゃなくて、恋愛対象として。
4/1/2024, 10:44:16 AM