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子供の頃、私はなにもわかっていなかった。サンタさんは本当にいると思っていたし、仮面ライダーにも宇宙飛行士にも願えば絶対になれると思ってた。学校の問題も1+1のような簡単な問題ばかりでずっと楽勝だと思っていたし、家族や友達とはこの先ずっと一緒にいられるのだと思っていた。それに好きな子にどう思われるのかも考えていないから家まで簡単に行って、一緒に遊ぶなんてこともしていたらしい。中学・高校時代にはだんだん大人に近づくにつれてだんだんいろいろなことが難しくなっていく、自由じゃなくなっていく。そんな風に思っていった。そんな私もまだなにもわかっていない子供だった。
昔のことが溢れ出すように思い出される。これが走馬灯なのだろうな。今妻、息子、息子の嫁、孫が側で泣きながら床に臥せる私をみている。今また私はまだ自分が知らなかったことがたくさんあることに気づいた。昔とは別人になり、口うるさくなった妻は今でも変わらず私をとても愛してくれていたこと。家をでてからろくに連絡もよこさなかった息子は私のことを気遣っていてくれたこと。私の病が理解できるほど孫が成長していたこと。素敵な友人がいたこと。止めても無理をしてまで最後まで私に心配かけまいと元気な素振りをしていたあのときの両親の思い。
私はまたわかっていなかった。子供の頃のように多くの気付きを未だに得ている私はまだどこか未熟なのだろうか。人はいつから大人になるのだろう。成人したら?お金を稼げるようになったら?体が成長したら?そんな理由では納得しがたいなにかがある。私は見た目は子供とは言えないが中身はまだ未熟だ。私は子供の頃のようにまだ疑問を持ち、答えを探している。
  
   2023/6/23 テーマ「子供の頃」

6/23/2023, 11:05:51 AM