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始まりはいつも

始まりはいつも向こうから。受動的に生きてきた。その方が生きるのが簡単だったから。相手の言う通りにしていれば問題は起きなかったし、こうしたいとかこうしてほしいとか、自分の希望や願望は特になかった。自分の金と時間、精神を差し出せば存在が保証されると心底信じていたし、それ以外に自分というものを確立する手段を知らなかった。周りには言わない、言えないような関係性の人が何人かいたけれど、それはそれで満たされていた。
初めて能動的に動いたのが今回、君に対して。君が押しに弱そうだというのもあったけれど、君はモテるから。それにお互いが好みのタイプではないのも知っていたから、自分が動かないと何も発展しないと認識できたのもある。

君を逃したら、二度と飼い主を見付けられないと思った。
君が駄目だったら、独りで生きていこうと覚悟していた。
君だったら、自分を理解出来ると確信したから。

自分にとってはいつもと違う始まりで、相手に対する態度も利己的で。不安を感じるよりも先に自分がこうしたいと思っていることを躊躇わずにぶつけても、君はなんでもない風に流してくれる。「扱い方が分かったら、すごく分かりやすい人だねぇ」と不安を感じなくていいように振る舞ってくれる。

始まりはいつも受動的で、それはとても楽だったけれど。
楽しくはなかったのだと今になって思う。

10/21/2024, 7:27:38 AM