ミミッキュ

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"喪失感"

小さい頃、大好きだったうさぎのぬいぐるみがあった。模様は黒のハチワレで、片耳の先が垂れたうさぎのぬいぐるみ。大きさは今の俺の、両の手のひらに乗っかるくらいの小さいやつ。そいつに『はな』と名付けて、いつも両手で持ちながら(学校以外の)色々な所に持って行っていたし、勿論寝る時も一緒だった。
けど、ある日突然はなが居なくなってしまった。1ヶ月位だろうか、リビングでも部屋でもずっと泣いていた。親が心配して、俺の好きな物を作ってくれたり、俺の好きな場所に連れて行ってくれたりしたが、1ヶ月位は何を食べても味がしなかったし、何を見てもモノクロのようだった。自力で何とか吹っ切れたが、喪失感は完全には消えてくれなかった。
何でこんな事思い出したのか。それは前に、俺がもう一度仮面ライダーになる前、うちに入り浸っていた猫が、はなと同じ模様をしていたから。首輪を付けていたから何処かの飼い猫だったのだろう、ニャーニャーとよく鳴く猫で、気が散るし鬱陶しかったけど何だかんだ憎めなくて可愛かった。その猫は今も入り浸っている。まぁそいつ、普通の猫じゃないし。取引を持ち掛けられた時に変な世界に連れて行かれて、姿が変わった上に人の言葉も喋るし、バスになったりもしたし、戻って来た後鳴き声じゃなくて人語になってたし、猫より化け猫って言った方がしっくり来るけど。

9/10/2023, 11:00:45 AM