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 聞けば、我々人類が宇宙について知っていることは、全体のわずか4%のみだという。
 何千年のも時間を費やし、何十、何百万のも人生が身を粉にして雲塵へと還った。数多の命と情熱がただひとつ──宇宙の神秘を求めた。それでも一割にも満たないのだ。塵となった彼らにとっては無念であろう。
 しかし、嗚呼、なんと広大でロマンティックで掴み所がないのかと私は胸踊ったよ。
 人というものは古くから、砂糖に群がる蟻のように、甘美な秘密や謎、真新しいものに惹かれるように出来ているだ。それ故に我々はここまで進歩し、宇宙についても知ることが出来た。

 少し話は変わるが、キミはキミのことをどの程度把握しているのかな?
 キミ自身の能力や限界、強み、弱点。それらをどの程度理解している?

 宇宙が広大で摩訶不思議であるのと同じように、我々人類もまた、小さくも摩訶不思議な存在だ。
 私も、キミも、通りすがりの彼も彼女も、みな等しく無限の可能性を秘めている。

 何故諦める?
 キミには描きたいものがあるのだろう。見せたいものがあるのだろう。

 何故諦める?
 キミの未来はキミ自身にもわからないのに、どうしてキミではない他人の言う未来を信じるのだ。

 勿体無い。実に勿体無い!

 残念ながら、私には、果たしてその類稀なる才能が花開く保証も、血の滲むような努力が実を結ぶ保証も出来やしない。だからこれは私の只の我儘だ。

 けれどね、私は見てみたいんだよ。
 キミが成したいことを成し遂げて、これほどまでの幸福はないといった風に笑う姿を、この目で見たい。

 キミの望むものを導けるのはキミだけだ。
 キミの望むものを生み出せるのはキミだけだ。

 さあ、キミの手のひらには一体どんな宇宙が広がっているのかな?


▶手のひらの宇宙 #83

1/19/2025, 7:53:42 AM