子供の頃は、彼の方が泣き虫だった。転んでケガをしては泣き、物音に怯えては泣き…とにかく私が彼を慰めたことは多い。
「うわあぁーん!怖いよー!」
「よしよし、私が傍に居るから大丈夫だよ」
学校の行事で肝試しをしたとき、偶然私たち二人がペアになったのだが、暗がりに怯える彼を慰めながら歩いたので、なかなか進まなかった。とはいえ、私もお化け屋敷などを避けて通ってきた人間なので、私も怖かった。驚かされる度に彼が泣き叫び、私も恐怖で足が竦む。そんなこんなで、私たち二人はお化け役の人たちを困らせていたっけなぁ。
大人になってからは、ある程度は怖いものも無くなった。ただ、泣き虫を卒業した彼に対して、私の方が泣き虫になってしまったかもしれない。
「うぅ…悔しい」
「大丈夫ですよ、俺が支えますから」
負けず嫌いな私は、自分の不甲斐なさに悔し涙を流すことが多くなった。怖いものが少なくなっても、克服できない感情に泣く事が多いのだ。今では私の方が彼に支えられている。
テーマ「子供の頃は」
6/23/2024, 10:50:09 AM