たーくん。

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扉を開けた先に広がる、美しい花畑。
私の心の中にある場所だ。
心だけ逃避行したい時は、ここへ来ている。
今日は仕事でミスをして、課長に呼ばれ、注意されて怒られている最中に花畑へ逃げ込んだ。
今は夏だからか、花畑にはひまわりが沢山咲いている。
私は麦わら帽子を被り、ひまわり畑に向かって走っていると、空から声が聞こえてきた。
「鈴木、聞いてるのか?黙ってないで何か言ったらどうだ?」
鬱陶しい課長の声だ。
私は現在逃避行中だから、無視無視。
ひまわりは私の背より高くて、私の弱い心に負けないぐらい力強く咲いていて……。
「そういう態度をとるなら、こちらも色々と考えないといけないな」
外の世界では、なにか大変なことが起きようとしている。
麦わら帽子を投げ捨て、急いで外の世界へ戻った。
「すいません課長!次から気をつけます!」
戻ると同時に頭を下げて、課長に謝る。
「君はたまにふわふわしている時がある。人前でそういう態度をしないよう、気をつけなさい」
「はい、分かりました」
「分かればいいんだ」
なんとか、大事にならずに済んだ。
さて、席に戻ったら逃避行の続きをしよう。
課長の席から離れ、自分の席へ向かった。
「鈴木!別件でもミスしたのか!戻ってきなさい!」
一度あることは二度ある。
いや、これで何度目だろうか。
「はい……」
私は回れ右をし、再び課長の席へ向かう。
課長の顔と声を見るのも聞くのも嫌だから、逃避行してきまーす。

7/11/2025, 10:56:22 PM