ー鏡の中の自分ー
現実の鏡には、相変わらずおしゃれのおの字もない本の少しだけいい気がする顔が写る。
鏡は本当の自分を写すもの。
加工一つも乗っていない。
でもそれは違う。鏡の中の私はうんともすんとも言わないのだから。
写るのはただの無愛想な顔。
そこから連想される性格は、声は、鏡から出ることはない。
鏡の中にもし別の世界があるのだとしたら。
私はそこに逃げ込みたい。
喋らなくていいから。
突発的に、変なことを口走らなくてすむから。
自分の理想を崩さずにすむから。
…嫌いなあの子の本性を聞かずに、表面上のあの子だけを可愛いと思えるから
ーああ、鏡の中の無口な自分が羨ましいー
11/3/2024, 11:13:04 AM