宿題紛失丸

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夜空を越えて



____その先になにがあるの?

知らない。「明日」だったらいらないかな。



向かい合わせの机。2つで1セット。
いつのまにか傾いた太陽は、昼間よりずっと眩しい。
空のはじっこは、少しずつ夜になってゆく。


「そんな数学嫌いなん」

「誰が好きになんのあれ、まじで」

「すげー辛辣じゃん、中間そんな酷くなかったでしょ」

「だって範囲ちょー広いんだもん。人の心ないね」

「ないね、無いわ」

2人して椅子に寄っかかる。問題集は真っ白なまま開いていて、筆箱より前に、お菓子を出して食べていた。

「そもそも夜空ってどう越えんの、飛行機?」

「のぞみでも夜乗ったら行けるよ多分」

「まじかー、やば」

身のない会話は回り続ける。いつだってそう。
何を、より誰と、が大切な私にとって一番好きな時間。




「だからって夢に出てくるのは面白すぎるけど」

「なんて?」

「ばかあほたわけ」

「嘘じゃん」


けらけら笑ってるけど、今日は会ってないよ。
私の方が教科多かったから。

「おーるうぇいずびっくらぶって言ったよ」

「おー、うちもうちも」
テキトーに返す感じが我ながらそっくりだ。
テキトーに返すくせに、目はスマホじゃなくて私を見てくれるところも。


「ひどーい、私は真剣なのに。夢にまで出てくるのに」

「じゃ、夢に出すから来てね」

そういって、手を掴まれた感覚。
あれ? あの子の体温だ。

向かい合わせの机。2つで1セット。
この時期はあっという間に夜になる。


何の、より誰の、が大切だ。夢もそう。
どこでも会えるなら素敵だと思った。

明日の前に、あなたに会えるなんて。夜空を越えるのも悪くないね。

12/11/2025, 1:47:06 PM