『君と一緒に』
模試が返却された。前回と変わらない平凡な成績だった。また親から小言を言われるかもしれない、と憂鬱な気分になる。
家に帰ると一足先に帰っていた弟と会った。手には成績表が握られ、弟のクラスでも模試が返却されたようだった。
弟が嬉しそうに成績表を見せる。前回より大幅に点数が上がっていた。クラスで1番だ、親から褒められたと聞かされる。
弟は優秀だ。要領良く何でも器用にこなし、勉強や運動もできる。友人関係も広く、大人数で遊びに出かけることも多い。兄の俺も慕ってくれる理想の弟だ。
嬉しそうな弟は見ていて微笑ましい。弟の成長を嬉しく思う反面、ヘドロのような思いが湧き上がる。口から漏れ出ていかないよう奥歯を噛み締める。
惨めだ。弟と過ごすにつれて俺が嫌なヤツになっていく。心の内で何度も繰り返した願いごとをまた呟いた。一緒にいたくない、早く離れられますように。
1/7/2025, 3:00:24 AM