名無し

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お題  明日、もし晴れたら

「明日晴れたら付き合って!」
そんな声が土砂降りの雨の中に響く。
体育館の裏というベタな告白場所に女の子を呼び出す、君。
僕はそれを観察しているやつだ。
見方を変えれば不審者になるのだが。
まあそんなことはどうでもいい。
二人は友達。ずっと友達。
これは君が保育園の頃に渡してくれた手紙の内容。
友達だから、君の告白現場は見とかないといけない。
あとでからかうネタになるし。
でも、本当のことを言うと、僕は君が好きだった。
友達として、じゃない。恋愛感情として好き。
likeじゃなくて、love。
気味悪がられた趣味だ。男が男を好きだなんて。
僕は座り込む。
「明日、もし晴れたらずっと友達、か」
そんなことを呟いて。
ズボンが濡れて気持ち悪かったけど、そんなのどうだっていい。
保育園の頃の手紙。
ずっと友達、そんな単語が頭から離れなかった。
君はあの言葉をいい意味で書いたんだろうけど、僕には悪い意味で伝わった。
ずっと友達だから、ずっと恋人にはなれない。
そんな意味で伝わったんだ。
僕の恋は保育園の頃から、ずっと、ずっーと報われない。
でも、わずかな可能性に賭けて僕はあの手紙に返事していない。
だから、僕からの返事によっては君の答えは変わるかもしれない。
ずっと友達じゃない、ずっと恋人。
そんな答えが欲しかったんだけどな。
明日晴れたら、そんな期待もなくなってしまう。
「明日、もし晴れたら友達、ずっと友達」
あぁ、この虚しさは一生忘れないだろう。




8/2/2023, 2:25:43 AM